次なるステージへ。グループCEOが語る、FY2025の挑戦

今年5月9日に創業22周年を迎えたエムステージグループ。「すべては、持続可能な医療の未来をつくるために」をグループビジョンに、日本の医療課題に多様な解をご提案してきました。今回は、そんなエムステージグループのグループCEOである杉田さんにFY2025の事業戦略を伺いました。

株式会社エムステージグループ 代表取締役 兼 グループCEO 杉田さん
大学卒業後、医療コンサル会社勤務を経て、2003年株式会社エムステージ(当時 株式会社メディカル・ステージ)を設立。コンサルタント時代に目の当たりにした無理な勤務体制に疲弊の声をあげる医師と、人材不足に喘ぐ医療現場を変えるべく、医師専門の人材総合サービスをスタート。持続可能な医療の未来をつくるため、医療機関の採用支援や事業場向けの産業保健支援、医業承継支援と、エムステージグループの事業領域の幅を広げている。

――本日はよろしくお願いいたします。まずは創業22周年おめでとうございます!

ありがとうございます。エムステージグループは5月9日に創業22周年を迎えました。これもひとえに、お客さまをはじめ、すべての関係者の皆さまの多大なるご支援あってのものでございます。心より感謝申し上げます。

エムステージグループは「すべては、持続可能な医療の未来をつくるために」をグループビジョンに掲げ、「ヘルスケア」「医療人材」「医療経営」の3つのテーマで事業を展開しています。昨年度の売り上げは約70億となり、日本の医療課題に対し70億の価値を提供することができました。

100億の価値提供という次のステージをめざして。
引き続きエムステージグループ皆が一丸となって、医療を取り巻く課題の解決策を社会にご提案していきます。

――次なるステージへ向け、FY2025はどのような1年になるのでしょうか

FY2025においては、それぞれの分野におけるエムステージグループの提供価値を見直し、業界における最適解をさらに追求していく1年になります。

まず、ヘルスケア領域においては「すべての人が健康にいきいきと働く社会へ」をビジョンに、企業の産業保健・健康経営を支援しています。具体的には、産業医の選任をはじめとする産業保健体制の構築、健康診断の実施、メンタルヘルス対策の実施の3つを軸に健康経営に関するトータルソリューションを提供しています。法令対応はもちろん「起きるを防ぐ」仕組みづくりを、組織の規模や業界・業種に関係なくサポートしています。

前年度はM&Aにより健康診断予約代行サービスを提供する株式会社ミライト(当時 株式会社健康プラザ)をエムステージグループに招き、これらのトータルサポート体制を整えました。唯一無二とは言いませんが、復職支援のリワークサービスを含めると企業の産業保健・健康経営をトータルでサポートできる企業は、私たちを含めて業界でも2、3社のみとなります。

このように、「面」の展開を行ったFY2024ですが、FY2025は「層」の展開をめざしています。
従業員の健康を守るため、企業にはその事業場の従業員数に応じて法律で義務付けられている事項がいくつかあります。産業医の選任やストレスチェックの実施などがそれにあたり、その多くが従業員50名以上の事業場において義務となっています。一方で、日本においては従業員数が50名以上の企業は1割にも満たず、ほとんどの企業が50名未満の従業員数となります。

私たちはこれまで、産業医などの専門職に“必要な時に、必要なだけ”相談ができる専門職シェアリングサービス『Sanpo保健室』を展開するなど、従業員数が50名未満の企業も意識したサービスを展開してきました。これは、ビジョンに「すべての人」とあるように、すべての層の企業で働く従業員が「健康にいきいきと働く社会」をめざすためです。2025年には労働安全衛生法が改正され、ストレスチェック実施義務の対象が従来の50名以上の事業場から50名未満の事業場にも拡大されます。私たちがこれまで意識してきたことが、社会の動きとしても当たり前になりはじめているのではないでしょうか。

今後も、すべての「層」の課題を解決できるよう、幅広い「層」に刺さるもの、そして「層」ごとに異なるものの2つの視点でサービスを展開していきます。

また、その「幅広い層に刺さるもの」の代表が、私たちが独自でシステム開発を行っている健康経営クラウドサービス『Sanpo360』です。企業の産業保健・健康経営に関わるすべての業務を効率化・可視化するシステムで、企業の産業保健・健康経営に関する業務がすべて1つのシステムで管理でき、改善に向けた分析ができる。そのような企業の健康経営の「質」を向上させるようなサービスの提供に向けても、現在準備を進めています。

「面」から「層」へ、そして「質」へ。

私たちは健康にいきいきと働ける人を増やすことで日本の生産性を向上させ「医療費を創造する」また、不調になる人を減らすことで「医療費の拡大を防ぐ」。それにより「持続可能な医療」をめざします。

――ヘルスケア領域のFY2025のテーマは「層」の展開なのですね。医療人材領域はいかがでしょうか

医療人材領域のFY2025以降のテーマは「プラットフォーム」です。

医療人材領域では、これまで医師の人材紹介により医療現場と医師のマッチングを支援してきました。FY2025以降は「医師」という限りある人材とその人の能力が、最大限に生きる社会をつくるために「人材紹介」という枠を超え、求人のプラットフォーマーになることをめざしていきます。

医療業界において、求人などの情報は閉鎖的になりやすく、そのために最適なマッチングが生まれる機会が限られてしまっている現状があります。私たちは、求人情報のプラットフォーマーとなり、エムステージだけではなく全国の医師の人材紹介会社に求人情報を共有していきます。そうすることで、より多くの医師に求人を届け、多くの選択肢から自身の能力を最大化させることができる働き方を見つけてもらう。現在、そのような仕組みを整えています。

また、そのためには医療機関の採用力の底上げも重要な課題だと思っています。

医療機関には採用専任の担当者がいることは稀で、ほとんどの場合が事務長や現場の医師が他の業務のかたわら採用を行っています。多忙、かつ採用の専門的な知識がほとんどないという状況で、求人の作成や複数の人材紹介会社との連絡、情報の管理などを行うのは難しいものがあります。その結果、応募が来ない、採用のミスマッチがおこるということが発生することは少なくありません。私たちは、そのような医療機関の採用に関する課題においても、解決に向け動き出しています。

――「医師」という限りある人材とその人の能力が、最大限に生きる社会をつくる。「人材紹介」という枠を超え、新たな仕組みを整えているのですね。医療経営領域はいかがでしょうか

医療経営領域においては、医療機関特化型の事業承継・M&A仲介サービスを提供することにより、必要とする医療が途絶えない社会の実現をめざしています。

FY2025からは、医業承継による開業サポートを行った1つの医療機関の、開業後の経営・運営支援も開始しました。医業承継M&Aのサポートは、医療機関経営という日常のスタートとなる一つの点にすぎません。そのため、今回の経営・運営支援で得た知見をもとに、開業後を見越した医業承継M&Aのサポートに努めていきます。

「持続可能な医療の未来をつくるために」解決しなければならない課題は、社会の動きによって常に変化していきます。そのような変化に迅速に対応して行くために、FY2025は各事業部の戦略はもちろん「持続可能な組織」もテーマとなってきます。組織が持続可能であるからこそ「持続可能な医療の未来」をめざしていける。そのために、組織におけるそれぞれの役割を改めて見直し定義していく1年にしていきます。