医業承継をもっと身近に。書籍に込めた代表の思い

『医業承継サポート』サービスを展開する株式会社エムステージマネジメントソリューションズは、今年3月に代表取締役である田中宏典さんの著書を出版しました。タイトルは『“STORY”で学ぶ、М&A「医業承継」』です。今回は、本書籍に込めた思いを著者である田中さんに伺いました。
株式会社エムステージマネジメントソリューションズ 代表取締役 田中さん
株式会社エムステージでの医師紹介事業部長を経て、2019年、医業承継・医療経営支援事業を行うエムステージマネジメントソリューションズ(以下、MMS)を設立。代表取締役に就任。
<書籍>
・タイトル:“STORY”で学ぶ、М&A「医業承継」
・出版社:株式会社プレジデント社
・発売日:2025年3月3日(月)
――本日はよろしくお願いいたします。まずは今回出版された書籍について、簡単にご紹介いただけますか
今回出版した書籍のタイトルは『“STORY”で学ぶ、М&A「医業承継」』です。その名前の通り、実話を基にした11の物語で、医業承継による開業の実践法を解説する内容となっています。
――事例メインの1冊になっているのですね。なぜ、事例をメインにされたのでしょうか
今回の出版にあたり、はじめにどのようなコンセプトの書籍にするかということを検討しました。その際の考えの軸になったのが「いかにして医業承継による開業を身近に感じてもらえるか」ということでした。
今の日本では、少子高齢化による後継者不足が深刻な問題になっています。それは医療業界も同様で、むしろ医師免許が必要な場合がある医療業界においては、さらに深刻な問題と言えるのではないでしょうか。そのようななかで、承継による開業はその地域の医療を未来につなぐとても有効な手段の一つだと考えています。
一方で、承継による開業にはどのような工程があるのか全体像を把握し、そのイメージを描けるような書籍や情報がないことに課題を感じていました。承継におけるフローの一部分の方法論を紹介したり、税法について紹介したりというような書籍は既にあるのですが、より全体像をつかめる、そして承継を自分ごととして身近に感じてもらえる書籍があるといいなと。
そこで、今回の書籍のコンセプトは「医業承継をもっと身近に」にしました。
―― 部分的な知識ではなく、全体像をイメージできるような書籍にしたいという思いがあったのですね。想定読者層は承継による開業をめざす方、つまり、引き継ぐ側になるのでしょうか
そうですね。引き渡す側の方にも見ていただきたいですが、メインは引き継ぐ側です。
医業承継は、費用面でも自身の負荷という面でもメリットがあります。開業の手法には主に新規開業と承継開業の2つあるのですが、承継開業はイニシャルコストが新規開業の3分の2に収まると言われています。また、新規のスタッフを採用したり、教育したりという負担も減らすことができる場合が多いのです。
もちろん、新規開業のみでしかできないこともあります。
そのため、私たちが『医業承継サポート』についてご相談をいただく際は、ご本人の思いや今後やりたいことなどを必ず伺うようにしています。そして、新規開業の方がマッチしている場合は、迷わず新規開業を進めさせていただきます。
今回の書籍では、そのような承継開業によるメリットもそうですが、どのような思いの方が承継による開業を選択されたのか。選択された背景も物語として伝えることで、「承継による開業が自分の思いや考えにマッチしているか」という一つの指標のようなものもご提案させていただければと思っています。
――実際に出版されてみて、いかがでしたか
出版自体は初めてだったのですが、当初の「いかにして医業承継による開業を身近に感じてもらえるか」という自身の課題はクリアできたように思います。また、書籍がきっかけでご相談や問い合わせをいただくということもあり、出版の効果は徐々に出てきています。
さらに、新たな気付きもありました。
承継開業のご相談をいただいた際に、最初の打ち合わせでこの書籍をお渡しするようにしているのですが、そうすると、次の打ち合わせではかなり目線があった状態で議論ができるようになっているということがあります。打ち合わせのなかで「今のは、この書籍のこの方の事例にもありましたよね?」というお話が出ることもあります。
この書籍を読むことで、ゴールまでの全体像がご自身の中でイメージできているのだと思います。今どのフェーズの議論をしていて、そこにはどのような選択肢があって、というようなことを体系的にご理解いただけているように感じます。
兼ねてから感じていた、医療業界によくみられる「相談する側」と「される側」の情報の非対称性が解消されることで、ご相談される方も自信を持って、ポジティブな気持ちで承継開業に望んでいただいているのではないでしょうか。これは、今回の書籍による新たな気付きです。

――「情報の非対称性を埋める」そうすることで、承継開業という人生の大きなプロジェクトにポジティブな感情を持ってもらう。まさに、コンセプト通りとなっていますね。最後に、読者や、書籍に興味を持っていただいている方にメッセージをお願いします
昨今、医療機関を取り巻く経営環境は厳しいものになってきています。そのような状況のなかで、医業を次の世代に繋ごうとする思いはとても崇高なものだと私は思います。
この書籍は、微力かもしれませんがそのような方々のお力になると考えています。開業検討の1歩としてこの書籍を手に取っていただき、必要でしたら、是非、私たちに承継開業をご支援させていただければと思っています。
「必要とする医療が、途絶えない社会へ」私たちは、医療をつなぐ方々を心から応援しています。
――エムステージマネジメントソリューションズのミッションである「事業承継で医療をツナグ」。今回の書籍がそのきっかけの一つになっていくのかもしれませんね。本日はお話ありがとうございました