「医師採用の効率化」で医療機関の経営と、医師の多様な働き方を支援する。20年以上続く事業部の今とこれからとは

医療機関と医療従事者の最適なマッチングを支援する「株式会社エムステージ」のメディカルヒューマンリソース事業部(以降、MHR)。多様な働き方を可能にし、すべての人が最大限に能力を活かせるようにすることで、誰もが安心して医療を受けられる社会の実現をめざしています。そんな株式会社エムステージの取締役として活躍する青木さんに、前職から今までのご経験、MHR事業部のこれからの展望について伺いました。

株式会社エムステージ 取締役 MHR事業部長 青木さん
マスターピース・グループ、エス・エム・エス、エムスリーキャリアを経て、2015年 株式会社MHA創業。2022年10月 エムステージグループに参画し、2023年1月 株式会社Rakusaiへ社名変更を行い、株式会社Rakusai 代表取締役に就任。2024年10月より株式会社エムステージ MHR事業部にて取締役に就任。経営管理や事業戦略などを担う。

――本日はよろしくお願いします。まずは青木さんのご経歴をお伺いできますか

元々は医師をめざしていましたが、医学部の壁は高く、残念ながら医師の道はあきらめました。医学部受験で浪人し社会人スタートが遅れていたことから、新卒では、圧倒的なスピード感で成長するため、多くの経験が積めるベンチャー企業で働こうと考えました。さまざまなアウトソーシングを請け負う企業で、コールセンターSVやデータ入力、通販の受発注の裏方から求人広告営業まで、とにかくあらゆる業務を幅広く経験しました。

その後、エス・エム・エスで看護師の人材紹介に携わり、半年後にはエムスリーキャリアの立ち上げメンバーとして加わりました。そこでは医師の人材紹介のプレイヤーから関東の責任者、人材紹介だけでなく医療コンサルティングチームを編成し、医療機関の医師採用コンサルティングも担うようになりました。

――採用を中心に広く医療機関の課題解決に携わってこられたのですね

そうですね。医療課題を解決したい、医療の未来をよくしたいと取り組んできましたが、医療業界に長く携わるほど業界の現状に落胆することもありました。
自分が身を置いているビジネス環境に比べると、医療業界ではDX化や担う人材のスキル向上が遅れており、経営状態が混乱している医療機関を目にする機会が少なくなかったからです。特に課題を感じていたのは採用課題です。そのなかでも医師採用の課題がもっとも大きなものでした。医療機関では医師がいないと患者を救えませんし、収益も生まれません。医師が一人いることで、年間1億円、2億円の収益が生まれると言われています。ですが、医師採用が医療機関の根幹を支える重要課題であるにも関わらず、医療機関に人事がいないことは珍しくありません。事務長が何でも担っていて、忙殺されているがゆえに、採用がおざなりになってしまっている医療機関が非常に多いという課題がありました。

――その課題を解決することができるエムステージの医師の人材支援事業について教えてください

我々は2003年の創業時に、医療従事者と人材不足に喘ぐ医療現場の支えになることをめざし、医師の人材紹介をスタートしました。納得できるキャリアプランに向けて転職を希望する医師と、人材に関する問題を抱える医療機関を結び付けています。また、人材を適正に配置するだけでなく、医師にとって多様な働き方を可能にし、自由な選択肢を持てる環境を築いています。医療機関へは、採用を通じて人的資源の最適化を促しています。

――昨年、新たに株式会社Rakusaiが統合されましたが、事業内容について教えてください  

Rakusaiは、医療機関向けの採用支援と医療人材紹介会社向けのマッチング支援の2つのサービスを提供しています。 医師採用支援サービス『Rakusai RPO』は、医師採用に関わる業務をアウトソーシングできるサービスです。また、医療人材紹介会社向けのマッチング支援サービス『Rakusai JOB DATA』は、医師紹介事業の運営における業務効率化をサポートしています。  

エムステージがこれまで蓄積してきた医師求人データや、医療機関との強固なネットワークを最大限に活用することで求人開拓の手間を大幅に削減できます。競争が激化する医師採用市場において、「医療機関」と「人材紹介会社」双方の課題を解決し、より良質なマッチングを実現しています。

――統合によって『Rakusai RPO』『Rakusai JOB DATA』はエムステージの中核事業として再スタートをきりましたね!統合には、どのような目的があったのでしょうか

統合の最大の目的は、事業シナジーを最大化することです。Rakusaiは2022年10月からエムステージグループに合流していましたが、異なる社名のもとでの運営は、グループ内の連携に一定の壁がありました。そこで、組織を統合し「同じ会社名のもとで一体となる」ことで、社内の結束を強化し、よりスムーズな協力体制を築く狙いがありました。  

また、クライアントにとっても異なる会社名が存在すると混乱を招くことがあります。統合により、ブランドの統一性を高めることで、サービスをより分かりやすく、信頼性の高いものにできたと考えています。結果として、これまで以上に高いパフォーマンスを発揮できる組織へと進化してきています。

――青木さんが考える、医療業界ならではの人材紹介の魅力をおしえてください

医療分野の人材紹介は、一般的な人材紹介と比べて社会的意義が圧倒的に大きいことが魅力だと思います。例えば、医師が1人増えるだけで、地域全体の医療環境が大きく改善されるケースは少なくありません。医師の採用が地域医療に与える影響も計り知れないため、私たちの仕事には大きな責任と使命感が伴います。  

また、 医療機関には専任の採用担当者が存在しないケースが多く、私たちが採用のプロとして最適な提案を行うことが求められます。単なる「人材を紹介する仕事」ではなく、医療機関ごとに最適な採用戦略を考え、提案できる面白さがあるのも、医療業界の人材紹介ならではの魅力だと感じています。

――エムステージの他社にない強みを教えてください

強みは、主に3つあると感じています。

【1つ目は、社員の真面目さと高い専門性】
医療業界の人材紹介には、 高い専門知識とコミュニケーション力が求められます。そのため、私たちは 医療経営士の資格取得を推奨し、最新の医療業界の動向を常に学び続ける文化があります。社員全員が自己研鑽に励み、成長意欲が高いことは他社にはない強みです。

エムステージグループ 医療経営士の取得状況(2024年4月時点)
・総合格者数:114名
 ー3級:63名
 ー2級:48名
 ー1級:  3名

【2つ目は、すべての領域をカバーするサービス展開】
医師の紹介は、常勤・定期・スポットなど多岐にわたりますが、我々はさらに事務職の採用支援も行っています。  加えて、RPO(採用代行)や人材紹介会社向けのインフラ提供まで行っており、医師採用に関するあらゆる課題をワンストップで解決できるのも私たちの強みです。  

【3つ目は、 エンジニアリングの内製化】
システム開発をグループ内で内製化していることも、大きな競争優位性の一つです。  
自社で迅速にシステム改修や新規開発を行えるため、スピード感を持ってサービスを提供できます。また、ダイレクトで思いを形にすることができるのも強みだと感じています。

――最後に、今後の事業部のめざす姿を教えてください

人材紹介業界は、今の形に固執していては、いずれ衰退していくと考えています。そのため、人材紹介の新たな形を模索し続け、進化したサービスを生み出していくことが私たちのミッションであり、めざす姿です。そのためにも、我々が持つ「良質な求人」という資産を最大限に活かしながら、次世代の人材紹介のあり方を創造していきたいです。  

今後も、医師と医療機関の最適なマッチングを追求し、エムステージらしさをさらに進化させていきます。

――”最適なマッチング”に向けて医師・医療機関と真摯に向き合い「エムステージらしさ」を追求する。本日はありがとうございました。