なぜ、医業承継アドバイザーへと転身したのか。次世代へ医療をツナグために挑戦を決意した理由とは

医師の高齢化と人手不足が深刻化する現在、医療現場の安定的な運営が課題となっています。
特に高齢者の医療ニーズが増えるなか、需要と供給のバランスが崩れ、対応が難しくなっています。このような状況下で注目を集めるのが、医療継続を支える「医業承継」です。
株式会社エムステージマネジメントソリューションズ(以降、MMS)は医業承継サポートを展開し、医療機関特化型の事業承継・M&A支援をおこなうことで、持続可能な医療の未来の実現をめざしています。

今回は、14年間医師のキャリアプランナーとして活躍した後、MMSへ転身し、昨年から医業承継アドバイザーに挑戦する半野さんに、アドバイザーに転身した理由や、今後の展望を伺いました。

株式会社エムステージマネジメントソリューションズ
医業承継アドバイザー 半野さん
2008年株式会社エムステージに入社。メディカルヒューマンリソース事業部(以降、MHR)にて、キャリアプランナーを担当し、マネージャーとして活躍。2023年より、医業承継サポートを行う株式会社エムステージマネジメントソリューションズにて、医業承継アドバイザーを務める。

――本日はよろしくお願いします。まずは半野さんの経歴を教えてください。

新卒で、関西の大手電子部品メーカーの総務部に入社しました。会社の規模は社員数が2万5000人ほどで、比較的大きな企業でした。やりがいもあり、非常に満足していましたが、入社して約2年経った時「自分が仕事をする意味は何か」と考えるようになりました。世の中には、多くの仕事が存在し、「○○さんにしかできない仕事」というのは基本的にはありません。ただ、仕事をするうえで、自分を頼ってくれる人のために「自分にしかできない仕事」をしたいと強く思うようになり、新たな環境を求め、転職を決意しました。
友人に医者が多かったこともあり、医療業界には元々興味を持っていました。そこで次の仕事では、「自分が力をつけて、彼らの役に立てる仕事がしたい」という思いから、エムステージに入社しました。

自分の将来を見据えた時、私には「マネジメントを極める」か「プレイヤーとしてのスキルを磨く」かという二つの道がありました。自分が仕事をする意味を考えた時、目の前の人を幸せにすることが仕事のやりがいだと気づきました。その結果、プレイヤーとしてのスキルを極める道を選ぶことにしました。MHR事業部での14年間の経験から、医療業界で後継者不足が深刻であることを痛感していました。この課題に対して少しでも貢献したいという思いもあり、新しい挑戦を求めて医業承継アドバイザーに転身する決断をしました。

毎日地道に勉強し、インプットとアウトプットを繰り返し行いました。 基礎的な知識は医業承継のチームに異動する際に、M&A、医業承継、税務会計に関する本でインプットを行いました。また、実務においては医業承継に精通した顧問税理士や顧問弁護士、行政書士の先生方に相談しながら譲渡額の設定やスキームを策定しています。チームの成約実績もかなり多くなってきているので、社内に蓄積されたナレッジや事例から学ぶことも多いです。メンバーのなかには私と同じく、医療人材から承継アドバイザーに転身した人がいるので、彼の経験や様々なノウハウを共有してもらえたのは、とてもありがたかったです。

将来的には、私を含めて誰もが患者になる時期が来ます。その時に頼りになる医療体制を実現するためにも、当事者意識を持ちながら日々知識の習得に励んでいます。

お客さまの課題を解決し、医療サービスの安定と持続可能性を支えられることが魅力だと思います。病医院の事業承継は、単なる事業所の売買ではありません。自分の診療所が廃業した時、患者さんたちがどうなるかという不安に直面し、我々に依頼してくるケースも少なくありません。開業医の高齢化が進むなかで、地域の人々はその医院を頼りにしています。我々は、患者さんのため、地域の医療提供体制の維持のために、医業承継が果たす役割は大きいと考えています。人生における重大な決断をサポートし、課題を解決することは、医業承継として働く我々の「やりがい」であり「魅力」だと思います。

MMSの強みは、一切手を抜かない姿勢です。 当たり前に思うかもしれませんが、業界のなかでは、ゴール=マッチングという考えの元、売買を成立させることが目的になりがちです。ですが、本来の目的は、必要とされる医療を次の時代へとつないでいくことです。
私たちは妥協せず、細部までこだわり、完璧をめざす。当然のことを当然にするのではなく、常に「それ以上」を意識し、お客さまの期待を超えることを使命としています。この姿勢こそが、私たちMMSの強みだと考えています。

医業承継という仕事は、「総合格闘技」だと思っています。ボクシングでは手を使って戦いますが、総合格闘技では全身を使って相手と戦います。同様に医業承継も医療現場の知識はもちろんのこと、医療制度や法律、財務や税務の理解が欠かせません。売り手と買い手の双方の利害がからみ合うなかで、バランスを保ちながら交渉を進める調整力も重要です。
また、提案力で最適な解決策を示し、プレゼンテーションで説得力を持って情報を伝える能力も求められます。これらのスキルと知識がなければ、医業承継を成功させることは難しいと思っています。

「今後起こりうることを“察知”して、自分の方が早く動く・準備すること」を心掛けています。承継を円滑に進めるためには、先回りして論点を整理し、必要な対策や準備を整えることが肝要だと思っています。先を見据えた行動が、業務の質と効率を向上させることにつながると考えています。
そして、もう一つ心掛けていることは、「相手の目線に立ってわかりやすく説明すること」です。譲渡や譲受のプロセスは、慣れない方にとっては複雑で難しいものです。基本的な知識が全くない方には、初めから詳細な資料を用意し、基礎的な部分から説明するよう心掛けています。両者の間に立つアドバイザーとして、状況を理解し、相手の習熟度に応じた対応が大切だと感じています。こうした配慮により、双方が納得のいく形でプロセスを進められると思います。

私の直近の目標は、現在の仕事を極めることです。専門性を高め、プロフェッショナルとして、困っている多くの医療機関を支援し、MMSの事業規模を拡大していきたいと考えています。
「医業承継」の知名度は年々高くなってきており、今後は間違いなく「医業承継」を検討するケースが増えていきます。私たちMMSが医業承継の代名詞となり、地域の医療環境を改善する存在として認知されるよう努めていきたいです。
また、エムステージグループが蓄積してきた豊富なノウハウを活かし、総合的な能力を発揮して、さまざまな相乗効果を生み出していきたいと考えています。
最終的は自分が核となり、エムステージグループ内に新しいサービスを立ち上げることが、今後の大きな目標であり叶えたい夢です。