休復職マネジメントが当たり前の世の中へ。企業と休職者をつなぐ『WellcoHR』企画開発者の思い

株式会社リウェルは、エムステージグループとして培ってきた産業保健の知見を基に、メンタルヘルス不調者の休復職支援サービスを個人向け、企業向けに多数提供しています。昨年6月にリリースした『WellcoHR』は、企業の人事労務担当者と休職者をつなぐ企業向けの休復職支援マネジメントシステムです。今回は、『WellcoHR』の企画開発に携わる三輪さんに、これまでのご経歴やシステムに込めた思いについて伺いました。

株式会社リウェル リワーク支援員 三輪さん
エセックス大学大学院卒。リワーク施設で支援者として従事後、2023年に株式会社リウェル(以降、リウェル)に入社。企業向けの休復職支援サービス『WellcoHR』『Wellcoリワーク』の運用に従事。

――本日はよろしくお願いします。現在、企業向けの休復職者対応ツールの運営に携わりながらも、支援員として休職者の方に寄り添われていますが、リワーク(復職支援)に興味を持ったきっかけを教えてください

私は、中学生のときに野球部でキャプテンを務めていました。その際、責任感やプレッシャーを感じて押しつぶされそうになったことがありました。そんな時に出会ったのが、スクールカウンセラーの方です。話を聞いてもらうことで思考・感情が整理され、気持ちも楽になり、冷静になることができました。その経験が衝撃的で、心理職に興味を持ちました。

そして、大学と大学院で心理学を学ぶなかで、思春期や成人以降の精神疾患、特にうつ病や適応障害などに関わる仕事がしたいと考えるようになりました

――スクールカウンセラーの方と出会ったことがきっかけなのですね。大学院卒業後はすぐにリワークに携われたのでしょうか

大学院卒業後は、外国人の人材紹介に携わりました。「学んできたことを活かして、すぐにリワークで働きたい」という思いもありましたが、「一度別の仕事をして、働く現場を目にするのも、今後につながる道だよ」という大学の教授の助言も参考に、就職をしました。また、海外の大学院に通っていたため、語学力を活かして働きたかったことも理由の1つです。

その後、リウェルとは別のリワーク施設で支援員として働き、メンタルヘルス不調で休職・離職した方へのサポート業務に従事しました。

――リウェルへの入社理由を教えてください

入社理由は2つあります。1つ目は福祉施設とは思えない程、明るく洗練された雰囲気に惹かれたためです。リウェルのリワーク施設は、多くの福祉事業所と異なり、雰囲気が明るく、閉鎖感や薄暗さを全く感じません。休職中という万全ではない状態の方がお越しになるからこそ、適度な明るさと洗練された雰囲気など、環境は非常に大切だと考えています。

2つ目は、幅広い事業・サービスを展開していることから、業界を牽引する会社だと感じたからです。「すべては、持続的な医療の未来をつくるために」というグループビジョンの基、リワークをトータルでサポートできる様々なサービスを展開していますし、グループ間での連携により、サービスの提供範囲は「産業保健」「健康経営」とさらに広がっています。

――現在はどのような業務をされているのでしょうか

企業が休職者に提供するオンラインでの個別トレーニングサービス『Wellcoリワーク』の支援員として、全国の休職者をサポートしています。休職者にプログラムを毎日実施いただくので、それらすべてのプログラムに対してフィードバックを行い、週1回の振り返り面談を行っています。企業には、定期的にプログラムの実施状況や面談内容を報告しています。

また、休復職のマネジメントシステム『WellcoHR』の運営にも携わっています。私が実際に業務で利用するなかで「もっとこうなれば使いやすいな」と感じたことや、利用者からのご意見を基に、どのような機能が必要か、どこをどのように改善するかを日々追及しています。

――『WellcoHR』について、どのようなサービスか教えてください

休職者対応に必要なプロセス管理と、復職支援を行える専用システムです。休復職情報管理、各休職者のスケジュール・タスク管理、メッセージの送受信、生活リズム記録の共有、再発予防につながるプログラムなどを一貫して行うことができ、『Wellcoリワーク』もこのシステムを通して実施しています。

企業が『WellcoHR』を通して実現できることは、大きく3つあります。

1つ目は、担当部門の業務負荷軽減です。担当者間での情報共有が可能で、スケジュールも管理でき、休職者の方がどのような状況かをシステム上で把握することができます。個々の欠勤・休職期間などは、各社の就業規則に沿って自動計算で表示されますし、休職者の診断書期限、休職期限のリマインドもシステムから自動で送信されます。

2つ目は、休職者対応におけるトラブルや揉め事のリスク軽減です。システムでは休職中の対応履歴が残りますし、休職者も常に自分の休復職情報や、会社の休復職ルール、復職に向けてやるべきことなどを確認することができます。また、セキュリティ対策が強化され、Excel管理やメールのやりとりなどで起こり得る情報漏洩などの不安も解消できます。

3つ目は、厚生労働省が推奨している職場復帰支援プログラムに沿った対応です。職場復帰支援プログラムを運営する上では、いくつか重要なポイントがあります。『WellcoHR』を活用することで、「休職準備とケア」から「復職後のフォロー」まで、適切なステップを踏みながら実施することができ、休職長期化防止、離職防止、復職後の再発率低下などにつながります。

――三輪さんは『WellcoHR』の企画から携われたと伺っていますが、どのような思いでスタートしたのでしょうか

「企業と休職者の方が復職に向けてひとつになれるように」という思いの基、誕生したシステムが『WellcoHR』です。リワーク施設でも、休職者から「会社が復職に向けて、自分に何を求めているのか分からない」といった声をよく伺いました。休職中、企業とのコンタクトがほぼない方もいらっしゃり、困惑している休職者が実は多いです。一方で、企業では復職支援の対応フローが定まっておらず、人事担当者が個人の裁量で対応していたり、Excelで休職期間など簡易的な情報だけを記録していたり、休職者の対応・管理に悩みを抱えている企業が少なくないようでした。

そこで、厚生労働省が推奨する職場復帰支援に沿った形で、企業と休職者の方が復職に向けて一緒に歩むことができるシステムを作ろうと、『WellcoHR』の開発を始めました。

――他社サービスと比較した際の『WellcoHR』の強みをどのようにお考えでしょうか

休復職プロセス管理から本格的な再発防止策の実施までを、総合的に対応できることです。リウェルは『WellcoHR』のシステム内で『Wellcoリワーク』のサービスを提供しています。休復職者管理システムとリワークサービスが一体化したシステムは、まだ世の中に少ないのではないでしょうか。

そして、料金の手頃さも大きな強みだと考えています。これまで休職者管理・対応に悩んでいた企業にも、まずは導入していただき、少しでも休職者対応の質を上げるきっかけにしていただけると嬉しいですね。

――最後に、今後挑戦したいことや目標を教えてください

将来的には『WellcoHR』が日本中で浸透し、休復職マネジメントが当たりまえの世の中になればいいですね。現在は休職者管理に力を入れていない企業も、今後このサービスが広まり、「どの企業も導入しているんだね、うちも入れてみようか」と休職者とつながるきっかけになれば嬉しいです。そのためには、休職者対応を初めて行う企業担当者の方でも『WellcoHR』を簡単に活用できるように、今後も使いやすさを追求して機能を改修していきたいです。

――多くの企業に『WellcoHR』をご利用いただき、企業と休職者をつなげるきっかけになれば嬉しいですね。本日は貴重なお話をありがとうございました。