産業医に、企業の産業保健意識の変化についてアンケート調査を実施

事業所向け産業保健サービスを提供する株式会社エムステージ(東京都品川区、代表取締役:杉田雄二)は、産業医114名に、企業の産業保健意識の変化や産業医業務のやりがいについてのアンケート調査を実施しました。(調査期間:2020年11月5日〜11月12日)。調査・分析の主なポイントは以下の通りです。

<調査結果のサマリー>

  1. 9割近くが、『企業の産業保健意識が高まっている』と回答! 「従業員の健康管理に、企業が介入するように」「産業医への期待を感じる」
  2. 最近増えている相談事例は、8割近くが『感染症対策』と回答。『メンタルヘルス・ストレス対策』に関する相談も増加
  3. 働き方改革をうけて『企業から求められている役割が変わってきている』と6割近くの産業医が実感
  4. 『良い産業医』とは、「中立的な立場から導くことができる」、「親身なコミュニケーションで気安く相談できる」という回答が上位に。働き方改革で問題になった「名ばかり産業医」への言及も
  5. 『やりがいを感じる』のは社員が元気に働き続けている姿をみた時!「健診結果から命を救えた」
  6. 産業医が主役のドラマ『#リモラブ』では、一般的に産業医がどのように見られているのか、に注目


1.9割近くが『企業の産業保健への意識は高まっている』と回答!「従業員の健康管理に、企業が介入するように」「産業医への相談や面談が増え、期待を感じる」

働き方改革関連法の施行や、新型コロナウィルスの流行などの社会変化を受けて、企業の産業保健の意識は高まってきていると感じるか質問したところ、31%が「そう思う」56%が「どちらかと言えば、そう思う」と回答。9割近くの産業医が、『企業の意識は高まってきている』と感じていることがわかりました。

一方で「どちらかと言えば、そう思わない」11%「そう思わない」2%と、1割の産業医は、企業の意識は高まっていないと回答しました。

≪自由記述より“そう思う”理由を抜粋≫

・従業員の健康意識を高めるようになり、企業が介入するようになった。
・単なる時間外労働の把握だけでなく、個人レベルでの要因や対策の考察をたてる様になった。
・長年、職場に喫煙室があり勤務時間に喫煙可能だった企業が、勤務時間帯は喫煙禁止、喫煙室も利用中止となった。禁煙者が増え、喫煙率は減少傾向である。
・在宅勤務での脳血管障害、心疾患、メンタル疾患が肌感覚で増えている印象を持っている企業が多く、そういう意味での意識は高まっていると思います
・ 新型コロナについての質問が増えた。いままで産業医を選任したことのない企業が多く、コロナ感染拡大への不安が産業医の選任という形で表れているような気がする。
・質問がより具体的になった。産業医への期待を感じている。
・感染対策として物品の消毒や換気、湿度などの管理。

2.最近増えている企業からの具体的な相談事例としては、8割近くが『感染症対策』と回答。在宅勤務などの新しい働き方を受けて、『メンタルヘルス・ストレス対策』に関する相談も増加。

最近増えていると感じる企業からの相談のTOP3は、1位「感染症対策」78.1%、2位は「メンタルヘルス・ストレス対策」65.8%、3位は「休復職関連」38.6%となりました。

コロナ感染拡大による社会変化・就労環境変化にともなって生まれるさまざまな問題に対して、企業が専門家である産業医への期待を強めていることが分かります。

3.6割近くの産業医が、企業から求められている役割が変わってきていると回答!「“産業医”に相談したいという傾向」

働き方改革関連法案の施行で産業医の機能が強化されて以降、企業から求められている役割が変わってきていると感じるか質問したところ、19%が「そう思う」40%が「どちらかと言えば、そう思う」と回答。6割近くの産業医が、『求められる役割が変わってきている』と感じていることが分かりました。
一方で「どちらかと言えば、そう思わない」34%「そう思わない」7%と、4割の産業医は、求められている役割の変化は感じないと回答しました。

≪自由記述より“求められる役割の変化を感じたエピソード”を抜粋≫

・臨床メインの精神科産業医や内科産業医ではなく、産業医メインの『産業医』に相談したいという傾向。
・企業側もリスクヘッジの観点から産業医を積極的に頼るようになった。
・職場巡視の実施が徹底されるようになっていることで感じられます。
・衛生委員会の講話に対する熱意や職場巡視の強化が増し、また、面談を重視している。

反対に、役割変化を感じていない産業医からは「産業医意見を免罪符のように取扱われ、事業者の主体性向上と逆行するような機会に時々遭遇する。」、「敏感な企業は法令遵守、通達や指針にも従おうとする姿勢がみられるが、産業保健に対する意識の低い企業には産業医から言うようにしている。」といった意見がありました。

4.『産業医が考える、良い産業医』について質問したところ、「中立的な立場から導くことができる」、「親身なコミュニケーションで気安く相談できる」という回答が上位に(有効回答数51件)

あなたが思う、良い産業医とはどういう産業医かについて質問し、自由記述の回答を分類別に集計したところ、TOP3は1位「企業と労働者の中立的な立場から導くことができる」25%、2位「親身なコミュニケーションで気安く存在できる」23%、3位「各企業の実情に合わせて対応できる」14%となりました。

自由記述には、「産業医を選任しているふり」だけで、実際は産業医が活動していない、いわゆる「名ばかり産業医(産業医の名義貸し)」に言及する意見も。これは「働き方改革」の際、大きな問題となりました。

≪自由記述より抜粋≫

・課題解決力を持つ。中立的な立場から適切かつ実行可能な方針に導くことができる。
・ 従業員と企業の橋渡しを円滑に行える。
・ 何かあれば相談できそうな人だと思ってもらえる存在になることかと思います。
・ とことん社員の話をしっかり聴く(きくは、聴くの字です)。
・ 各企業の実情に合わせて多様で柔軟な対応ができるようブラッシュアップの努力を惜しまない。
・ 身体、精神の双方について助言できる。
・ 産業医学的知識と臨床能力のバランスがとれた医師。
・ 職場での働くことが自分の人生を豊かにしてくれると感じる、その手助けができること。そこを楽しめる産業医に憧れます。
・ 全ての社員が幸せに働けることを、第一に考えている産業医。
・ 名ばかりでないもの。そうした医師の溜まり場になってほしくない。

5.産業医業務でやりがいを感じるのはこんな時!「健診結果から命を救えた」、「臨床とは異なる社会貢献をしていると感じる」(有効回答数43件/自由記述)

目の前の社員が元気に働き続けている姿をみたり、企業の雰囲気の変化をみると『やっていてよかった!』と感じる産業医が多いようです。

≪自由記述より抜粋≫

・パワハラ案件を、誰も傷つくことなく、不愉快な噂がたつこともなく、解決した。
・やはりメンタル対応が多いので、休んでいる人の調子が回復し復職されると嬉しい。
・休職になったうつ病、アルコール中毒患者さんで、退職を強く考えていた社員との面談を重ね、入院加療を働きかけて、職場環境も調整したことで、病状が良くなり、勤務継続できていること。
・メンタルで休職を繰り返していた人にリワークを経て復帰してもらった後に再休職せずに勤務継続しているとき。後にその人の上司から本人、人が変わったようになったけど先生本人に何されましたか?と好意的に聞かれたとき。
・休復職対応等で、中立的な立場から上司、従業員、人事のコンフリクトに対処し、話の方向性を誘導しながら皆がそれなりに納得のいく打開案にこぎつけたとき。
・健診結果より、受診をすすめたところ、重症な状態であり、受診の結果、命を救えた事が一番の思い出。
・工場の巡視を続けた結果、全国の系列工場全体で毎年行われる安全衛生大会で下位から1位になり社長に感謝されたとき。
・産業医初選任のところで健康診断やストレスチェック後の対応を整えていくとき。定期的に面談をすることで励みになる、という言葉をきいたとき。
・面談を終えたときに表情が変化したことを感じたとき、会議や巡視などで職場や会社の雰囲気や姿勢が変化したと感じた時などたくさんある。
・臨床とは異なる社会貢献をしていると感じる。
・講話を楽しみにしていると言われたことがあり、とても嬉しかった。
・感染症の本当に正しい知識の少ない人が多いので、その啓発ができること。

6産業医が主役のドラマ『#リモラブ』どんなところに注目して見られていますか。(有効回答数9件)

≪自由記述より抜粋≫

・一般的にどのように産業医が見えているのか、描かれているのかに注目した。
・企業から見た立ち位置。
・企業における産業医業務の一端の紹介や、産業医に対する従業員の対応の演技に注目して見ている。
・産業医ドラマというより恋愛ドラマとして見ています。
・ドラマですから仕方がないですが、産業医としての仕事というよりは波瑠さんの恋愛物語の色が濃いため、もう少し産業医の仕事を視聴者に分かってもらえる構成だといいな!と思って見ています。例えば復職判定で本人と人事との間で復職可否の意見が対立して挟まれるシーンとか。

<調査概要> 
アンケート実施期間:2020年11月5日(木)~2020年11月12日(木)
有効回答数:114件
対象者:産業医
回答方法:WEBを利用したアンケート調査

■産業保健サポートサービスとは
https://sangyohokensupport.jp/
6,000名以上の登録産業医から、各企業の状況にマッチした産業医を紹介し、専任コーディネーターが運用をサポート。クラウドシステムで管理業務の一括管理も可能です。
産業保健師サービスや、ストレスチェックといった、幅広いサービスラインナップで、企業の健康経営に関するご相談におこたえしています。

■エムステージグループ
https://www.mstage-corp.jp/
「すべては、持続可能な医療の未来をつくるために」をビジョンに、産業保健・医療人材・医療経営の3つの領域から医療課題の解決を図っています。ベストベンチャー連続選出。HRチャレンジ大賞にて受賞。 
2003年、医師の求職を支援する「Dr.転職なび」「Dr.アルなび」を提供開始。医師の柔軟な働き方を切り開き、医療機関の採用課題を解決しています。2016年、産業医・産業保健師を軸とした企業向け健康支援サービス「産業保健サポート」を開始。利用事業所数1,500件を突破(2020年10月現在)。その後、総合健康支援サービス「M value」(https://sangyohokensupport.jp/mvalue)の提供を開始。働く人の健康に寄与し、予防医療の観点から医療費削減に貢献しています。2019年、医療経営支援・事業承継支援サービスを提供する株式会社エムステージマネジメントソリューションズ設立。

商号  : 株式会社エムステージ
代表者 : 代表取締役 杉田 雄二
設立  : 2003年5月
資本金 : 6,250万円
所在地 : 東京都品川区大崎2-1-1 ThinkPark Tower5階
事業内容: 企業向け健康経営支援、医療機関向け医療経営支援、医師・医療人材総合サービス

<取材に関するお問い合わせ>
株式会社エムステージホールディングス  広報:武田
TEL: 03-6867-1170/FAX: 03-6867-1171/MAIL: t.takeda@mstage-corp.jp