医療人材総合サービスを提供する株式会社エムステージ(東京都品川区、代表取締役:杉田雄二)は、全国の医療機関131院に、今後、開始される予定の『新型コロナワクチン接種』についてアンケート調査を実施しました。(調査期間:2021年1月21日〜1月26日)。調査・分析の主なポイントは以下の通りです。
※医師への『新型コロナワクチン接種』についてのアンケートはこちら。
<調査結果のサマリー>
今後、開始される予定の新型コロナワクチンの接種対応を実施するか質問したところ、31%が「依頼があり、実施を決めた」、19%が「依頼があれば、実施する」、18%が「依頼があり、検討中」、18%が「依頼があれば、検討する」、6%が「依頼があっても、断る」、6%が「わからない」、2%が「依頼があったが実施しない」と回答しました。
「依頼があり、実施を決めた」31%、「依頼があれば、実施する」19%を合わせて、現状で、5割の医療機関で新型コロナワクチン接種の実施意向があることが分かりました。
≪自由記述より”新型コロナワクチンの接種実施の判断理由”を抜粋≫
<依頼があり実施することに決めた> ・地域貢献。(病院:300床以上) ・医療者含め市民の皆さんが、遅延無く接種されるために、地域中核病院がその役割を果たすものと判断した。(病院:100~199床) ・地域の拠点病院として患者様及び職員の感染防止を図る責任がある。(病院:100~199床) ・地域内唯一の医療機関のため。(病院:20~99床) ・所属医師会より依頼があったため。(病院:200~299床) ・市の要請に応えるため。(健診機関) ・職員が500名在籍しているため。(病院:100~199床) <依頼があり検討中> ・行政への協力、地域医療への貢献が必要であり前向きに検討中。(病院:20~99床) ・医師、看護師、事務体制や実施場所等について検討中。(病院:100~199床) ・コロナ対応中の医師・看護師の負担が更に増えてしまう。(病院:100~199床) ・何らかの形で協力したいが、副反応への対応、薬剤の管理・運用方など不明な点が多い。(健診機関) ・ワクチン供給数が不明。(無床クリニック) ・副作用など情報の不足。(病院:20~99床) <依頼があれば実施する> ・病院の使命。(病院:300床以上) ・市に積極的に協力したい。(病院:100~199床) ・地域唯一の医療機関である。(病院:20~99床) ・ワクチン接種の効果を期待している。(無床クリニック) ・市民を対象とした接種は、当院の院内ではなく、市の保健行政担当部署が主体となって、別会場での集団接種が予定されており、医師会からの要請に基づき、医師及び看護スタッフを派遣することになる見込み。(病院:20~99床) ・自院従業員にワクチンを接種したい。(病院:100~199床) ・コロナ禍で大幅な減収となっており、少しでも補填したい。(無床クリニック) <依頼があれば検討する> ・地域医療機関として積極的に取り組みたいという意見と、まだ不明点が多くリスクヘッジできないという意見に院内で意見が分かれている。しかし、できるのであればやりたい、という共通認識はあるので、ガイドラインや安全面の担保がある程度明確になれば、検討できると考える。(病院:20~99床) ・設備や接種規模などの詳細が分かり、依頼があれば検討する予定。(病院:20~99床) ・通常業務にプラスして対応するため、対応可能か検討する必要がある。(健診機関) ・協力はしたいが、緊急時の対応に不安がある。(無床クリニック) ・今後のワクチン接種は非常に重要な業務となると考える。(健診機関) ・ワクチンの保管管理が困難だと感じている。(健診機関) <依頼があっても断る予定> ・精神科単科の病院であり、マンパワーや接種に係る対応等を総合的に勘案して患者へのワクチン接種は困難として考えている。(病院:100~199床) ・副作用等の対応に不安がある。(病院:20~99床) ・法人内で対応病院がある。(無床クリニック) <依頼があったが実施しない> ・ワクチンを管理する設備がない。(無床クリニック) <わからない> ・依頼という形ではなく、職員が何人いるのかなどのアンケートが始まっている。(病院:300床以上) ・末端まで情報がおりてきていない。(病院:100~199床) ・冷凍設備を確保できるのは基幹病院と思われるので、依頼はないと思う。(病院:100~199床) |
ワクチン接種にあたり、実務上で予想される懸念について質問したところ、TOP3は1位「接種時の副反応への対応」、2位「充分な人員体制の確保」、3位「接種のスムーズな運営」となりました。
自由記述では、医療従事者の少ない地域において、既にぎりぎりの人数で地域医療や新型コロナ患者の対応にあたっている中、さらにワクチン接種を実施する体制構築の難しさが指摘されました。人員体制の確保や接種のスケジュールについては、国・行政側の入念な検討を求める声があがりました。
≪自由記述より“実務上で予想される懸念”を抜粋≫
<接種時の副反応への対応> ・特に副反応への対応は難しいため、自治体等で一元的対応を求める。(病院:100~199床) ・副反応、特にアナフィラキシーショックが報じられている点を特に危惧する。(有床クリニック) <充分な人員体制の確保> ・当院の常勤医師は数名で、市内の医療機関全体でも非常に少ないことから、既存の医療資源だけで接種業務を行うのは困難であり、対応する医師の確保が課題である。接種に係る人員体制(特に医師)の確保は、その費用を含め、行政側が考えることだと認識しており、紹介会社の活用についても情報提供したい。(病院:20~99床) ・元より医療従事者がかなり少ない地域において陽性患者を受け入れている中、すでにギリギリのスタッフで対応している。その中で当院の医療従事者への接種はまだしも、市民への接種については既存のスタッフでは対応困難であるため、別途スタッフを確保する必要があると考えているが、その確保は非常に困難であることが予想される。政府は一方的にワクチン接種のスケジュールを発表し、市民はそのスケジュール通りに実施されることを期待している中で、混乱が生じないか大いに危惧している。(病院:100~199床) ・接種者が医師のみ(看護師は不可)では人員的に厳しい。(病院:20~99床) <接種のスムーズな運営> ・手順の複雑さが懸念されるので、現場の医師などの意見をもとに、マニュアル作成を行って欲しい。(病院:20~99床) ・各施設での曜日・時間指定をさせてもらいたい。(病院:100~199床) ・ワクチン接種で言えば、居住地市町村接種が前提であるため勤務先から帰って接種するか、休日に接種することになる。職域への配慮が無い。遠距離通勤をしている身としてはつらい。また、接種する側としては、看護師に休日出勤をさせることになり、働き方改革に反する。(健診機関) <冷凍保管環境の整備> ・ディープフリーザーの納期が決まっておらず、その間は保冷ボックス対応と聞いている。保管形態によって使用期限が異なるので、満額賛成とは言えない。(無床クリニック) <通常健診、診療への影響> ・依頼された人数のワクチン接種をする場合、診療の遅れが生じる。(無床クリニック) ・一度に接種しなければいけない人数が決まってくるので、時間的な拘束が必要で通常診療への影響を心配している。(病院:20~99床) <接種場所の密状態、感染リスク> ・午後に2時間で実施予定。1日130名程度と想定すると駐車場問題、外来の密集状態の配慮が懸念される。(病院:100~199床) ・密にならない工夫と、接種期間時のコロナの状況が今より悪化していれば厳しいかもしれない。(病院:100~199床) ・人員が密集してしまう可能性。(無床クリニック) <接種場所の確保> ・接種後の経過観察場所の確保。(病院:300床以上) ・冬場ということもあり、暖を取れる場所の確保が困難。(病院:100~199床) ・接種後の状態変化を考慮し接種場所近隣で待機してもらう必要があるが、来院患者の減少を懸念。(有床クリニック) <わからない> ・情報が錯綜していて詳細がまだわからない。(病院:200~299床) <その他> ・まだ実際に運営する市町村の実施方法等が見えないため、懸念事項が多い。(健診機関) ・市町村ならびに県、当該地区の医師会と相談しながら進める。(健診機関) ・接種自体はインフルエンザと大きな違いはないと思うので、懸念はあまりないと考える。(病院:20~99床) |
2020年度の収益状況について、前半期と後半期を比較したところ、44%が「前半期よりも収益が増えた」、35%が「前半期よりも収益が減った」、21%が「前半期と同程度の収益」と回答しました。
社会的な自粛度が現在よりも高かった、第一次緊急事態宣言の発令された前半期よりも、後半期の収益が減った医療機関は35%、同程度の収益であった医療機関は21%と、半数以上の医療機関では、収益状況が改善していないことが分かりました。
収益状況について質問したところ、2019年度は57%が「黒字」、22%が「赤字」、21%が「不明、未回答」となりました。また、2020年度は37%が「赤字」、36%が「黒字」、27%が「不明、未回答」となりました。
黒字と回答した医療機関は、2019年度の57%から2020年度は36%に減少しました。
自由記述からは、2020年度は黒字と回答した医療機関からも、厳しい経営環境であることを訴える声が多数あがりました。
≪自由記述より抜粋≫
<2020年度赤字予想> ・10-11月は復調の兆しがあったが、12月以降また減収に転じた。(無床クリニック) ・入院患者数が改善しない。(病院:100~199床) ・前半期は前年同期比でかなり悪化していたのでそれに比べると回復はしてきたが前年度よりは悪化している。(病院:20~99床) ・人件費の削減。特に非常勤医師。(有床クリニック) ・予防医学の重要性が注目・再認識されている。(健診機関) ・クラスターの発生があり、一時救急外来及び入院の制限を実施した。(病院:100~199床) ・外来数が減った、入院患者が減った。(病院:100~199床) <2020年度黒字予想> ・影響があるとすればこれからだと思う。(病院(100~199床) ・第一次緊急事態宣言の出た2020年4月ー5月は極端な減収減益となり、以降危機感を持って職員のモチベーションを高め経営努力した。特に周辺の民間病院でもクラスターが頻発し、「明日は我が身」と職員がひとつになり耐え忍んでいる。(病院:20~99床) ・たまたま、院内で感染者がでていないだけである。(無床クリニック) ・先延ばしになっていた上期の健診収益が下期に移行しただけ。(健診機関) ・減収するも何とか黒字。付帯事業でカバー。(病院:100~199床) ・コロナ特例加算の影響が大きい。(病院:300床以上) ・徐々に入院患者数が増えている。(病院:100~199床) ・上半期は3割減、下半期は3月末で100%の見込み(健診機関) ・大病院がコロナで忙しく、診れなくなった患者さんが流れてきている。(無床クリニック) ・病院の増改築工事が完了して少しずつ入院数等が回復。(病院:200~299床) ・長期処方による外来数の減少。(病院:20~99床) ・コロナ関連にて一般入院患者受け入れ減のため。(病院:300床以上) ・診療収入は増加。人件費や材料費を中心とした支出が増加したのが要因。(病院:300床以上) <不明、未回答> ・詳細は不明。業務量は増大しているが依頼が集中しているため、人員の確保、感染症対策等にコストがかかり、収益は上がっていないとみられる。(健診機関) ・医師をはじめスタッフの充足度が上がったことが大きい。(病院:100~199床) ・2019年比20%程度の減(無床クリニック) |
医療機関の現状や日本の新型コロナ対策について、自由記述にて質問したところ、多くの懸念や問題提起がありました。医療機関の声に耳を傾け、地域医療が今、向き合っている課題に、社会として取り組んでいくことが求められています。
≪自由記述より抜粋≫
・民間の医療機関において、新型コロナの対策で恒常的な設備や人員の投資をすることは難しい。すでに実行されている医療機関には最大級の敬意を表したい。新型コロナとは相当の距離を取っている無床診療所であってもスタッフの疲労は目に見えて蓄積している。最前線の苦労と疲弊度は推して知るべしである。経営と同時に燃え尽き症候群などで医療従事者の大量離脱も懸念される。(無床クリニック) ・医療従事者数が減少しており、入院患者を増やすことが難しい。(病院:200~299床) ・どの地域も同様であるとは思うが、特に医療人材の少ない地域においては、陽性患者の対応とワクチン接種の対応を同時期に行うのは大いに困難であることを理解してほしい。人材が少ない中では、例えば報酬等をある程度あげたとしても、医療者が確保できないことは変わらない。(病院:100~199床) ・当院におけるクラスターの発生は一時的で収束したものの、コロナ対応の余力がないため、再び新型コロナ感染症が発生した場合には、部屋及び人員の確保が難しくなり、経営面でもかなり厳しくなる。(病院:100~199床) ・当院のような小病院の場合、医師の人数も少ないので、もし医師が新型コロナに感染したら死活問題。(病院:100~199床) ・現状は、病床を縮小しコロナ対応を行っている。救急も制限があり正直、医療崩壊がおきている状況。コロナ対策としては、重症を診る病院、その他を診る病院と分けた方が効率的だと思う。現状のコロナ受入れ病院に重症も中等症も何でも診てくれと言うのは人材不足(医師・看護師)で正直限界だと思う。(病院:100~199床) ・重症度、中等度、軽症との分別の定義を一本化してほしい。(病院:100~199床) ・後方支援病院として、急性期病院からのコロナ感染患者以外の紹介を受け入れている。急性期病院のベッドを塞ぐことなく遅延無く受け入れることが、使命と認識している。感染症患者は、スキル・医療設備の整っている病院に集約するべき。分散することで本来の機能が発揮出来ない。感染と非感染の遮断が重要と考える。(病院:100~199床) ・医療機関は軽症であれば看護業務ではなく介護業務が増えている。(病院:300床以上) ・医療体制の逼迫はないものの、コロナ禍における様々な対応に現場職員が疲弊していると感じる。(病院:100~199床) ・コロナと勤務疲れの上にあらゆる偏見と戦っている医療機関従事者に対して、国民もメディアもそっとしておいてほしいと思う。(無床クリニック) ・建屋が古く、機能性に乏しい環境のため、感染対策が困難な状況。(病院:100~199床) ・精神科(認知症専門病棟を含む)では感染拡大しやすいので、病院全体での感染予防に苦労している。(病院:300床以上) ・オンライン診療の更なる推進、医療サービス提供手段の多様化を考えてほしい。緊急度の低い方が受診を控えることで本当に必要なところに必要な財源がまわるとよいと思う。(病院:20~99床) ・院内発生患者や透析患者でも、コロナ受け入れ病院に入院できない厳しい現状。(病院:100~199床) ・非常に厳しい。今まで紹介して頂いた診療所から、依頼が少ない。GO-TOトラベルは感染を拡げただけだ。(病院:100~199床) ・新型コロナの否定ができない患者の転送先がなかなか見つからなくなっている。行政がもっと3密を抑えることをしてほしい。(病院:100~199床) ・政府の緊急事態宣言は一定の強制力を持たせないと効果が希薄で、当分収束に向かうことは期待できない。(病院:20~99床) ・病院のひっ迫状況は頻繁に報道されているが、コロナ禍での健診の扱いについては全く話題に挙がらない。各健診を所管する監督官庁からも、健診実施の可否も含め明確な指示は出てこない。顧客も判断ができず健診計画が二転三転する。この様な状況が続けば健診機関は潰れてしまう。今は、非常事態なのだから健診はすべて中止。従事者は診療体制維持のための支援やワクチン接種の体制確保に当たらせる。国は各医療機関存続のための補償をする。くらい思い切ったことは出来ないものか。(健診機関) ・小児科は特に患者減が深刻。12月に診療報酬上の対策がなされたが、遅きに失している。(無床クリニック) ・利用者、職員に感染者が生じた場合の補償はなく非常に厳しい(無床クリニック) |
<医療機関の概要(131)>
<調査概要>
アンケート実施期間:2021年1月21日(木)~2020年1月26日(火)
有効回答数:131件
対象者:全国の医療機関
回答方法:WEBを利用したアンケート調査
■エムステージグループについて
https://www.mstage-corp.jp/
「すべては、持続可能な医療の未来をつくるために」をビジョンに、産業保健・医療人材・医療経営の3つの領域から医療課題の解決を図っています。ベストベンチャー連続選出。健康経営優良法人(大規模法人)認定。
2003年、医師の求職を支援する「Dr.転職なび」「Dr.アルなび」を提供開始。その後、病院事務職の求職を支援する「M.PLAT」、コメディカル求人メディア「医療求人なび」を提供開始。医療者の柔軟な働き方を切り開き、医療機関の採用課題を解決しています。2016年、産業医・産業保健師を軸とした企業向け健康支援サービス「産業保健サポート」を開始。利用事業所数1,500件を突破(2020年10月現在)。働く人の健康に寄与し、予防医療の観点から医療費削減に貢献しています。2019年、医療経営支援、事業承継支援サービスを提供する株式会社エムステージマネジメントソリューションズ設立。
商号 : 株式会社エムステージ 代表者 : 代表取締役 杉田 雄二 設立 : 2003年5月 資本金 : 5,000万円 所在地 : 〒141ー6005 東京都品川区大崎2-1-1 ThinkPark Tower5階 事業内容: 事業所向け産業保健支援、医療人材総合サービス |
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株式会社エムステージホールディングス 広報:武田
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